競技の場になる土俵(どひょう)に力士が登場し、力士になるために義務教育を終えた者で、身長173cm、体重75kg以上なければいけないそうだ。もちろん体格が良いだけでは力士になれない。つらい練習を重ねて、やっと土俵に上がることができる。力士はいつもまげを結っている。そして土俵に上がる時には腰の周りに色鮮やかな廻しを締める。
相撲の定義は、「廻し(まわし)」を締めただけの裸体の二人の競技者が素手で土俵上において勝負を争い、互いに相手を倒し合い、土俵外に出し合う格技の一種、ということになる。力士は一場所、十五日間を毎日違う相手と対戦し、できるだけたくさんの白星 (しろぼし)を挙げるように努力するのだ。
世界史の観点から見ると、古代の世界各国で、相撲の形態によく似たスポーツが盛んに行われていた。バビロニア、エジプト、中国などにおける出土品にも、「相撲」に似た格闘技の様子が描かれている。世界のどこであれ同じ「人間」という動物が行う競技であるから、伝播、接触 (融合)などを経ない相異なる格闘競技の間によく似た部分が見られても、全然おかしな話ではない。
このように大昔から世界中の民族が、ほとんど人間の本能として相撲のような形で力比べをしたが、文化の発達するに従い、原始的な「打つ、殴る、蹴る」というプロレスのような乱暴な相撲の形も、相手をケガさせないようなルールができて、だんだん変わってきた。ヨーロッパではレスリングとボクシングに、中国では拳法に発達した。蒙古、朝鮮、インド、ロシア、ブラジルなどにおいても、それぞれのルールに従って、相撲によく似たスポーツが今なお行われているのは、この競技がいかに古くから世界中の民族によって、素朴な形で戦われたかを証明するものであろう。
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