日语阅读资料:兔子和太郎
むかしむかし、ある山おくに、おじいさんと孫の太郎がすんでいました。
二人の家のすぐそばのささ山には、人をだましてはよろこぶ、わるいウサギがすみついています。
そのころは、ウサギのしっぽは長くて大きなものでした。
ウサギは、この大きなしっぽをじまんにしています。
ある日のこと、山へ出かけるおじいさんが、太郎にいいました。
「山さいって、ひとはたらきしてくるかのう。太郎、夕方にはかえってくるで、おかゆでもにて待っててくれろ」
「うん」
太郎はおじいさんを見送ると、おかゆを作るために、なべをあらいはじめました。
その音に、ウサギが気づき、
「おや? なべを洗っているのか、ということはめしを作るんだな。じゃあ、めしができるまでねて待つか」
そういうと、ウサギはゴロッと横になり、グーグーひるねをはじめました。
さて、夕方。
おかゆもできあがり、いいにおいがしてくると、ウサギの鼻がピクピクピクッと動き、パッとはねおきて太郎の家へ走っていきました。
そして太郎にいいました。
「太郎、なにしてるだ?」
「おかゆをにてるだよ」
「うまいんか、そのおかゆってのは」
「そりゃあ、うめえさ」
「なら、ちょびっと食わせてくれや」
「だめだめ、じいさまにおこられる」
「ちょびっとだ、ほんのちょびっとだけだ。おら、おかゆってのを食ってみてえ。ねえねえ、ねえったら」
ウサギがあんまりしつこいので、太郎はしかたなく、
「じゃあ、ほんのちょびっとだぞ」
と、なべをウサギにわたしました。
ウサギは、うれしそうにおかゆを食いはじめ、
「あち、あち、あちいがうまい、いやあ、うまい! じつにうまい! ああ、うまかった。さようなら」
ウサギはなべをかえすと、あっというまに山へ帰ってしまいました。
太郎がなべの中を見ると、なんと、からっぽです。
こうしてウサギは、人のいい太郎をだまして、おかゆをみんな食べてしまいました。
おじいさんが帰ってくると、太郎はなべをかかえたまま、ションボリしています。
「太郎、おめえ、なにしてるだ?」
「あっ、じいさま。ウサギにおかゆを食われちまっただ」
これには、おじいさんもガッカリです。
よく朝、おじいさんは、山へ出かけるまえに太郎にいいました。
「太郎、きょうは、ウサギにおかゆを食われるでねえぞ」
「うん、だいじょうぶだ」
太郎は、きょうこそおかゆをたらふく食おうと、はりきって作りはじめました。
そしてタ方。
「ウサギがきたって、もうぜったいにやんねえぞ!」
ところがまた、ウサギがきました。
「あっ、おめえのおかげで、きのうはひどいめにあったぞ。とっとと帰れ!」
するとウサギは、まじめな顔をしていいました。
「そんなこといってる場合じゃないぞ。おまえのじいさまがな、山でたおれておったど」
「えっ! ほんとうか? そりゃあたいへんだ!」
太郎はビックリして、なにもかもほうりだすと、山ヘ走っていきました。
その後ろすがたを見送りながら、ウサギはニンマリ。
「ウッヒヒヒヒ、うまくいったぞ」
いっぽう、ひっしで山をのぼっていった太郎は、ちょうど山からおりてくるおじいさんと出くわしました。
「これ太郎! どこいくんじゃ?」
元気なおじいさんを見た太郎は、ようやくだまされたことに気づきました。
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