過ちては則ち改めるに憚ること勿れ
孔子が弟子達に君子の心得を教えた言葉
君子不重則不威、学則不固。
主忠信、無友不如己者。
過則勿憚改。
君子重かざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。
忠信を主とせよ、己に如かざる者を友とすること無かれ。
過ちては則ち改めるに憚ること勿れ。(論語学而篇)
君子は慎重でないと威厳がない、他から学ぶようにすれば啓発される。
言行に偽りのないようまず心がけること。
他人の、自分より劣った点に狎れるな。
過った場合は改めるのに躊躇してはならぬ。
孔子にとって「過ち」という言葉は、人間の自由意志を越えて客観的に存在する「道」にそわぬ思惟と行動そのものを意味する。孔子の「過ちを少なくする」という努力は、「道」という権威に対して、自己を虚しくすること、我執を去ることに帰着する。
孔子の生涯の夢想は、「従心所欲不踰矩?(心の欲する所に従って矩を踰えず?)とあり、「思うままに振る舞って「道」に外れない」人間になることが目標であった。
過ちを少なくするため、我執を取り除こうと努力することは、夢想の人間に近づくことで、孔子はこの様な努力をする人を「君子」と呼んでいた。
躊躇は己の考えに執着すること[我執]から生じる。過ちては則ち改めるに憚ること勿れとは、君子たり得たるための、最も基本的な教えであった。
現代に生きる私達も自分の間違いを認めることは難しく、自分の考えに固執する人が多い。自分の間違えを訂正することが、躊躇することなく出来ても、間違えが多くては人としての尊厳が保てない。
「過ちては則ち改めるに憚ること勿れ」に触れたら、この言葉の真の意味を思い起こして欲しい。」
「人は言動を慎重にし間違いを少なくしなければ威厳はない、多くを学べば柔軟な考えが持て、一つの考えに固執することがない。
自分自身に偽ることなく信念を保ち、他人の間違った事柄に流されて、自分自身を見失ってはいけない。
自分自身の言動に間違いを感じたら、それを訂正することに躊躇してはいけない」
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