日语阅读:幸せな時間
「あ、誰もいない。俺たち二人だけだ」
そう嬉しそうに言ったのは、朝月(あさつき)先輩だった。
今は昼休み私立川(たちかわ)ひかりは朝月先輩と一緒にご飯を食べる約束をしていて、屋上に来ていた。
「あ、本当だ。珍しいですね」
「きっと、俺たちが来るのを見抜いてたんだな」
少し、わざとらしい口調で先輩は言う。
「そんなことはないと思いますけど」
「だってさ、いつもは人いるんだぜ?」
「それはそうですけど」
私は言い返されて下を向く。
「まっ、そんなこと、どうでもいいや。早く飯食おうぜ」
先輩はそう言うと、床に座り込んだ。
「立川も早く座れよ」
「あ、はい」
先輩の隣に座ると、お弁当箱のふたを開けた。
「お、うまそうだな!」
開けたとき、先輩が覗き込んできた。
「良かったら朝月先輩も食べますか?」
私がそう言うと、「いいのか?」
「はい。先輩にあげようと少し多めに作ってきたんです」
お弁当箱を先輩に差し出した。
「じゃ、お言葉に甘えていただきます」
先輩は中に入っていたから揚げをひとつ取って食べていた。
「美味しいですか?」
恐る恐る聞いてみる。
「美味い!立川って自分で弁当作ってるのか?」
「はい、自分で作ってますけど」
私がそう答えると、「すげぇな!これ、マジで美味い!!」
「そんなすごくないです!!」
「俺にとったらすごいって!!いい奥さんになれるぜ?」
そう言うと、頭をポンッっと軽く叩いてきた。
「そんなことないですよ!!」
私は慌てて否定する。
「俺が言うんだから大丈夫だ」
「??」
少し照れくさかった。
キーンコーンカーンコーン(チャイムの音)
そのとき、チャイムが鳴った。
「もう昼休み終わりか、早いな」
先輩はそう言って立ち上がった。
「さてそろそろ教室に戻るか」
「??」
何も言わなかった。
「どうかしたのか?」
心配そうに声をかけてくる先輩。
「朝月先輩が変なこと言うから」
私は照れて下を向いていると、「言ってねぇよ。本当のこと言っただけじゃんか」
すると、先輩はいきなり抱きしめてきた。
「え」
「そういうところが可愛いな」
「そういうところ?」
「ああ。すぐ照れるところが?」
「??」
「さて、チャイムも鳴ったし、教室に戻るか」
抱きしめるのをやめてそう言う。
「うん」
私は小さく頷いた。
「じゃ行くか」
こうして、私と先輩は教室に戻った。
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