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日语社会学论文五

来源: 2018-01-05 10:34

 第1節 遅滞者の流行意識

  若者の消費行動の実態を探る前に、大学生のファッション情報収集状況をもう一度振り返ってみよう。パーソナル・コミュニケーションによる情報収集と、メディアによるインパーソナル・コミュニケーションによる情報収集を統合した状況を見ていくと、販売員のアドバイスを参考にする割合は、遅滞者では45.3%と半数を割ってはいるが、他の採用者は6割から7割がアドバイスを参考にしていることが分かる(表13参照)。

  さらに、ファッション雑誌を「読まない」人を除くと、ファッション雑誌購読が頻繁になればなるほどに、周囲の人とファッションに関する会話を交わす傾向と、販売員のアドバイスを参考にする傾向が高くなっている。このことから、ファッション雑誌で積極的に情報収集する者ほど、パーソナル・コミュニケーションでも情報収集をしているということが言えるのだ。(表14参照)。

  しかし、このように日常的に数多くの情報に触れているにも関らず、周りの人々よりもファッションに関する事に詳しいという意識は非常に低く、ファッションに関する意見や情報は他人から聞くというのが、現代の若者のファッション事情認識状況なのだ。

  以上のような情報収集状況の中、調査対象者250人のうち86人という多数を占めた遅滞者の消費行動を探っていきたい。というのも、多数派の消費行動から、現代の若者全体の消費傾向や流行意識がつかめるヒントが見つかるかもしれないからだ。

  大学生全般に、ファッション雑誌が最もポピュラーで日常的な情報収集手段として広まっている中、遅滞者の30.2%はファッション雑誌を読んでいないという状況であることが明らかになった。それでは、ファッション雑誌を読まない者は、一切の情報を無視し、あくまでも流行を拒んでいるのだろうか。実際はそうではない。周囲の人とのファッションに関する会話こそ少ないが、ファッション雑誌を読まない者の41.7%が販売員のアドバイスを参考にしていることが、調査結果から伺えるのである(表15参照)。

  このことから、ファッション雑誌を読まない者でも、販売員のような、より専門的で個人的な情報は参考にしていることが伺える。しかし、残りの58.3%の者は、ファッション雑誌も販売員のアドバイスも参考にせず、情報のないままショッピングをしていることになる。しかも、ファッション雑誌を読まない者の72.2%が遅滞者であるということから、遅滞者の大半がこのようなショッピング行動をしていると言えるといっていいだろう。

  さらに深く遅滞者の消費行動を探るために、これから遅滞者の流行意識を分析してみることにしよう。まず始めに、遅滞者の流行追随意識を示すために、流行追いかけ因子の2項目に着目していこう。表5の「流行に取り残されるのは不安だ」という調査結果からも分かるように、「全くそう思う」や「まあそう思う」と回答した遅滞者は合わせても8.2%と他の採用者よりも非常に低い。このことからは、遅滞者の流行追随意識の低さが伺える。

  その一方で表4の「他人に自分がどう見られているのか気になる」という質問では、「全くそう思う」や「まあそう思う」は合わせて53.5%と過半数を占めていることが分かる。以上の結果から、他の採用者よりは低い割合ではあるが、若者全般と同様に流行にはこだわってはいないが、同時に周囲を気にする意識が高いということが、遅滞者にも当てはまっていると言える(表4・5参照)。

  しかし第4章第2節でも述べたように、遅滞者が流行を採用しない最多理由は、「個性がなくなるから」と同率で「自分には流行のファッションは着こなせない」と考える「流行無意識あきらめ型」が24.1%を占めているのである(円11参照)。このことからは、遅滞者は全く流行のファッション情報を知らないのではなくて、何かしらの手段で情報を得ていることを示していると言える。その手段とは、「他人が着ているのを見て」であり、遅滞者の41.7%の者が挙げる流行の情報源なのである(表9参照)。

  このことから、流行に無関心だと自認している遅滞者の情報収集意欲は低くても、無意識のうちに周囲の状況から流行を意識せざるをえないことになっている状況が伺える。言い換えれば、流行採用において遅滞者と自認しながらも、周囲の人とかけ離れたファッションはできないという遅滞者の消極的な流行採用意識が見える結果となったのである。

  それでは大学生対象の調査結果から、現代の若者の消費行動を探っていくことにしよう。まず始めに、一ヶ月にかける洋服代に着目して様々な要素がその平均金額にどのような違いを与えているのかを見ていくことにする。

  調査対象者全員の一ヶ月の洋服代の平均金額は、11100円で、採用者カテゴリー別の平均金額は、初期採用者が、19200円、前期追随者が12100円、後期追随者が10200円、遅滞者が8800円となっている。以上の結果から、より早期の流行採用者ほど、洋服代を費やしていることがはっきりと分かる。

  それでは、流行意識によって洋服代の金額に差があるのかどうかを見ていきたい。ちなみに、一ヶ月の洋服代を回答してくれたのは250人中190人であり、「流行を意識する」と回答した者はそのうちの64人で、「流行を意識しない」と回答したのは残りの126人である。なお以下のデータ結果は、各設問毎の回答数に変動が見られ、一ヶ月の洋服代の平均金額の高い回答から順に挙げていくこととする。

  流行を意識する者の一ヶ月の洋服代の平均金額は、14300円で、一方の流行を意識しない者の平均金額は9500円となり、意識の違いが約5000円の金額の差を生んでいることが分かる。

  さらに流行追随傾向別に平均金額を比較してみると、回答数188人のうち「流行追いかけ傾向強型」は121人で平均金額は12500円であり、「流行追いかけ傾向弱型」は67人で、平均金額は8600円となっている。ここでも流行追随意識の高さが」3000円の金額の差を生んでいる。

  また、ファッションリーダー自認度別に平均金額を比較してみると、周りの人々よりもファッションに関する事を「よく知っている」と思っている者は全回答数188人のうち19人で、その平均金額は17800円である。逆に「よく知らない」と思っている者は169人で、平均金額は10300円という結果になり、ここでもファッション情報に詳しいと自認度の違いが、7500円もの差を生み出していることが言える。

  以上の「流行意識」、「流行追随意識」、「ファッションリーダー自認度」という3要素の意識の高さの違いが、一ヶ月の洋服代に大きな影響を与えていることを確かめることができた。

  意識の違いによる平均金額の差を見たところで、流行を知る経路やコミュニケーションの程度によって洋服代の平均金額がどう異なるのかを見ていこう。回答数150人のうち「友人・知人」を情報源として挙げる者は8人で、その平均金額は13800円となっており、「ファッション雑誌」を挙げる者81人の平均金額は13500円である。最も金額が低かった「他人が着ているのを見て」を挙げる者は36人で、平均金額は8900円という結果となった(グラフ9参照)。以上のように、流行を知る経路によって、最高で約5000円の金額の幅があることが確かめられた。

  さらに詳しい調査分析をするために、最も情報源として利用率の高いファッション雑誌の購読頻度別に平均金額を見てみることにしよう。回答数191人のうち、ファッション雑誌を「毎号読む」者は39人で、その平均金額は15000円と講読頻度別では最高金額であった。一方の最低金額は、ファッション雑誌を「読まない」者20人の平均金額の5000円という結果になった(グラフ10参照)。ファッション雑誌講読頻度の違いが、10000円という大きな平均金額の差となって示されているのがよく分かる。

  また、「テレビや雑誌の登場人物のファッションをチェックしていますか」という雑誌を始めとするメディアでのファッションチェック率を見る質問に回答した191人のうち、「かなりチェックする」と回答した者は15人で、その平均金額は18400円であり、「ある程度チェックする」者は118人で12100円となり、「ほとんどチェックしない」者58人の平均金額は7200円という結果になった(グラフ11参照)。このファッションチェック率の違いも、約11000円の金額の差を生んでいる。

  続いてパーソナル・コミュニケーションに着目して平均金額を見ていこう。「ここ2.3ヶ月の間にあなたは誰かと新しいファッションに関して話をしたことがありますか」という質問の全回答数191人のうち「ある」と回答した者は102人で、その平均金額は14300円となり、一方の「ない」と回答した者は89人で、平均金額は7500円である。「販売員のアドバイスを参考にしますか」という質問の全回答数190人のうち「参考にする」と回答した者は124人で、平均金額は12300円となり、「参考にしない」と回答した者は66人で、平均金額は8900円という結果となった。

  さらに、パーソナル・コミュニケーションで特に聞きたいアドバイスによって、一ヶ月の洋服代に差が見られるのかという点に着目していきたい。そのために、販売員のアドバイスを「参考にする」と回答した者だけに、販売員にアドバイスしてもらいたい項目を尋ね、その結果を分析することにした。全回答数127人のうちで、「着回し方」を挙げたのは64人で、その平均金額は14200円で、「自分に似合うかどうか」を挙げた者51人の平均金額は9600円であった(グラフ12参照)。以上のように、パーソナル・コミュニケーションの中でも、特に周囲の人々との会話の頻度によって約7000円の差が見られることが確かめられた。

  ファッション雑誌によるインパーソナル・コミュニケーションであれ、パーソナル・コミュニケーションであれ情報収集を積極的に行っている者ほど、一ヶ月に洋服代をより多くかけていると言える。特に、情報源として「友人・知人」を挙げた者が最も一ヶ月に洋服代を費やしているわけだが、言い換えると、雑誌の同質的な情報よりもくちコミ情報を重視する者が、お金をかけたファッションをしているということになる。このことは、パーソナル・コミュニケーションで受けた、消費者の個人別のアドバイスが細かいために、消費者はあれもこれもと勧められた商品を買ってしまう傾向を示しているのではないのだろうか。しかし、実施した調査のデータからはその確証は得られなかったので、仮説として留めておくことにする。

  また意外だったことは、販売員のアドバイスで「自分に似合うこと」を重視する者は、そのためならばお金に糸目を付けないのではなく、逆に低予算で抑えており、反対に最も経済的に思える着回し重視派がショッピングにお金を費やしていることである。流行に関心を持っている者ほど洋服にお金をかけ、特に着回し方に興味がある者が多額を投じていることから、着回しのきく洋服を何着も買うという若者の消費行動が伺える。

  第3節 まとめと今後の予想

  これまで、第1節では流行採用者カテゴリーで遅滞者と自認する者の消費行動を見てきた。また、第2節ではパーソナル・コミュニケーションやインパーソナル・コミュニケーションの度合いによって、一ヶ月にかける洋服代の平均金額にどのような差を生むのかを見てきた。第3節では、それらの調査結果をさらに詳しく分析し、販売員のアドバイスやファッション雑誌の情報による影響と若者の消費行動との関連の結論を導いていきたい。

  まずは、第4章までで見たような接客を行っている販売員自身が、実際の接客の際に重視して勧めていることは何なのかを見ていきたい。「客に似合うこと」が86人と最も多く、続いて「デザイン」が52人、「機能性」が42人、「価格」が20人という結果となっている。しかし若者から見ると、販売員から受ける実際のアドバイスは、「流行」35.8%、「似合うかどうか」31.7%、「着回し方」22.2%という結果になり、若者が最も重要視していない「流行」をセールストークの引き合いに多く出していると強く感じており、消費者との意識のギャップが見受けられる(円23参照)。

  それでは若者自身が服を購入する際に重要視している項目は何だろうか。最も重視する項目として「デザイン」でが全体の50.6%を占め、続く「自分に似合うこと」の31.3%を大きく引き離している。さらに、2番目に重視する項目を見てみると、「価格」55.1%、「デザイン」17.3%、「自分に似合うこと」11.9%という結果となった。また、販売員のアドバイスを参考にする者に尋ねた、最もアドバイスして欲しい項目の上位は、「着回し方」が50.0%で、「似合うかどうか」が40.1%という結果となった(円5・9・10参照)。

  以上の調査結果をまとめると、現代の若者の消費行動のポイントは、「デザイン」・「着回し方」・「自分に似合うこと」の3点であることが分かる。「デザイン」がポイントとなっていることの表れとして、流行の採用は無個性化に繋がるという多数派意見の中、「流行を意識する」と考えている28.6%の少数派の大部分が「(流行のファッションが)かっこいい(かわいい)から」を理由と考えていることを挙げたい(円24参照)。 つまり、見た目のかっこよさが、流行のファッションの第一条件となっていることが伺える調査結果なのである。さらに、流行採用を肯定的に考えている、より早期の流行採用者ほど、「流行を取入れることによって自分の個性を発揮することができる」と考える比率が高くなっていることからも、かっこいい自分像という「自己実現の欲求」を満たすために流行を採用していることが言えると考えられる(表1参照)。

  「着回し方」と「自分に似合うこと」がポイントとなっていることの表れとしては、販売員からのアドバイスに加えて、ファッション雑誌からの情報もお手本としてや、自分に似合うファッション探しの手助けの役割を果している状況を挙げたい。特に「着回し方」では、第2章第2節「ファッション雑誌の役割」でも述べたように、雑誌のタイトルに「この○着でワンシーズンを乗り切る」や、「○着の一週間着回し術」等の言葉が頻繁に見られることから、消費者のニーズに合わせてファッション雑誌が「着回し方」の情報を重視して掲載していることが分かる。

  一方の「自分に似合うこと」がポイントとなっていることの表れとして、ファッション雑誌のくちコミ化現象が挙げられる。特に化粧品情報に多く見られる現象ではあるが、最近ではファッションページにも及んでいる現象である。特に芸能人やモデル、アパレルメーカーの社員、ファッションコーディネーターといったおしゃれに定評のある人物によるくちコミ情報の特集が頻繁に組まれている。内容は、お気に入りのショップ情報や「Tシャツならば○○というブランド、パンツならば××というブランドを長年愛用している。」という個人情報を紹介するものである。

  以上の人物から発信される情報は、流行を採用しつつも個性的で、読者にとっては今まで知らなかった意外な情報ばかりである。しかし彼女達は消費者にとっては憧れの存在であり、おしゃれの専門家でもある。しかも実際の本人を雑誌やテレビで見ることによって、彼女達のおしゃれな姿や美しさに納得し、くちコミ情報に確信を抱くのである。

  さらに、若者の代表者でもある読者モデルによる、「シンデレラの一着」(雑誌「non・no」によるネーミング)コーナーがファッション雑誌で頻繁に取り上げられていることにも注目したい。内容を簡単に説明すると、「ヒップが大きい」、「ふとももが太い」、「バストが小さい」等の体形のコンプレックスや、「背が高い」、「なで肩である」、「腰骨が張っている」等の体形の特徴別に数人の読者モデルが登場し、その一人ひとりがスカート、シャツ、パンツといったファッションアイテムをブランドや細かいディテールにこだわって着比べ、読者モデルのコンプレックスを最もうまくカバーする一着を見つけるというものである。

  この企画のポイントは、プロのモデルではなくて、読者モデルという普通の若者を登用している点にある。なぜならば、プロのモデルではプロポーションやルックスが整いすぎているが、読者モデルだと、そのうちの誰かの体形と読者自身の体形を当てはめることができるからである。その結果読者は、雑誌を読むという手軽な手段で、自分だけの「シンデレラの一着」探しの研究ができるのである。このことは、本来ならば、販売員等の専門家でなければアドバイスできなかったことが、今ではファッション雑誌で簡単に情報を入手することができるようになった最も端的な例である。

  このように、インパーソナル・コミュニケーションでさえもくちコミ情報化してしまった状況で、本来くちコミ情報の発信源であったパーソナル・コミュニケーションは、若者の消費行動にどのような影響を与えているのだろうか。

  実際に洋服を購入する状況を考えてみよう。販売員が勧める商品は、客が洋服を買いに来た時のファッションに合わせた商品であることは、第4章第4節の販売員の接客術から明らかになった。しかしそれを知らない若者は、販売員が自分の好みのデザインと同じ傾向の商品を勧めてくることを根拠に、自分好みのデザインの洋服こそが、自分に似合うファッションなのだと確信を得ているような印象を調査結果から受けることができる。その上、販売員が流行のファッションを「似合う」という言葉と一緒に勧めてくれなければ、確信を持って購入できないという不安定さをも含んでいるように私には思えるのだ。

  以上のことから、パーソナルコミュニケーションの中でも特に、販売員のような専門家は、自分に似合うファッションが一体どういうものなのか分からない若者一人ひとりに、最もかっこよく見えるファッションをコーディネートすることが最も重要な役割であると言える。

  しかしこのように、雑誌や販売員の情報に頼ることは、若者が理想としている「自分だけのファッション」ではなく、「客観的に見てかっこいい自分像」を結果的に重要視してしまっているように思える。そのため、この論文の始まりから私が挙げている「同調性の欲求」・「差別化の欲求」・「自己実現の欲求」の3欲求は、最終的には客観的に自分を捉えるための欲求であると結論づけることができる。

  しかも、これまで何度も出てきた「流行を意識しない」、「流行追随意識が高い」という、この一見矛盾する2つの要素こそが、若者の消費行動のキイワードであることに私は気付いた。「流行は意識していないが、乗り遅れたくはない。」これが現代の若者の本音の流行意識なのだ。

  そして特に強調しなければならないことは、バブル期のような、あからさまに高級ブランドを誇示するファッション傾向ではなく、「さりげなく、自分なりに」流行を取入れることがおしゃれであり、現在の「流行」そのものでもある状況であるがために、結局は流行を採用している状況にあることに、若者自身が気づいていないことである。

  これは消費者に流行を意識させない服づくりをしているアパレルメーカーの技術の高さが原因なのだろうか。むしろ私は、ファッション雑誌を始めとするメディアによる情報量の増大と迅速な情報の流れによって、流行採用が日常的な状況になってしまったことが原因だと考えている。例えば「今年の流行色は茶色です。」ということになれば、その情報はあらゆるファッション雑誌やその他のマス・メディアで一斉に取り上げられる。そして販売員も当然「今年の流行色は茶色ですから、このチョコレート色のパンツなんか、今年っぽいですよ。」というようなアドバイスを不特定多数の客にすることに繋がり、日本中が一つの流行ファッションで埋め尽くされてしまうのだ。

  このように言うと、同質性の高いファッション雑誌の情報からの差異化をはかるために販売員から情報を受けているにも関らず、実際には情報は全て同じものであるように思える。しかし、販売員から得る情報は流行ばかりではなく、客個人に合わせた着こなし方のアドバイスも含まれているため、ファッション雑誌の擬似個人情報とは違う、本当の意味で個性を重視した情報なのである。この「個人情報」というのが、ファッション雑誌の情報とパーソナル・コミュニケーションによる情報の決定的な違いなのだ。

  しかし、販売員自身も、流行を採用しているという意識が薄いことが示された調査結果がある。それは、販売員対象の調査の中でいくつか見られた、「流行という言葉自体が死語だと思う」や「私達の店の商品は流行を追っていません」というコメントである。これは、「流行を意識しない」という若者の流行観と同じ意味で出た言葉ではないだろうか。ファッション業界に籍をおく販売員でさえも流行を意識しなくなるほどに、流行は若者文化に解けこみ、存在すら感じさせないものになっていることの証拠であろう。

  今後の流行現象の展開を予想すると、身近な情報収集手段としてのファッション雑誌の地位が、パーソナル・コミュニケーションに取って変わることになるということが言えるであろう。ファッション雑誌はサイドブックとなり、個人的な情報を得るために販売員のアドバイスを受けることが主流となるのではないだろうか。ひょっとすると、「流行」という現象は存在しつつも、「流行」という言葉が消え、「トレンド」のように軽い意味の別の言葉に変化してしまうことになるのかもしれない。

  流行は一昔前のように、ある流行がはやれば、誰もが同じ格好をするというものではなくなってきている。流行はこの先もずっと誕生と衰退を繰り返し、現在のように、消費者は流行を取入れることが当たり前という感覚をこれからも持ち続けると私は予想している。特に若者は、「流行」を特別なものとは捉えずに、ベーシックなファッションと同様に単なる選択肢の一つとして取入れていくことになるのであろう。

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