日语口语:名字と苗字の違いは?
現代では姓氏を俗に苗字と言っている。文部省では名字を使い、法務省では氏を正式名称として用いている。
ところで、苗字とは何か。苗字は近世の姓氏で、中世には出てこない。中世は名字であった。苗字の「苗」には、血筋や血統という意味があり、祖先を同じくするという意を含んでいる。近世でも、中世の名字の語が通用したために、混同したり同義語に考えられたりした。
本居宣長は『玉勝間』の中で、次のように述べている。『藤原氏や源氏などの人がふえると、まぎらわしいので苗字で分けたのである。そのうち、いつのまにか、苗字を藤原氏や源氏などの氏と同じように考えるようになった。しかし、氏の分からない人はこれを守るしかなかったのである。ところで、苗字の「苗」とは一体何なのでしょうか。これは、もとは名字の「名」だったのが、名の字は、名(ナ)やあざなとまぎらわしいということから、苗字になったのである。』
また、谷川士清の『和訓栞』では、「苗字と名字」は違う」としている。
結論的にまとめてみると、「鎌倉時代から『苗裔』という語が使用されていたが、この「苗」はナエであり、それが次第に拡大解釈されて、祖先を意に用いられるようになり、さらに、それから転じて家名(家号)となったのである。中世の名字と同じようであるが、違った点でもある。名字には名(ナ)、あざなの要素と名田(所領地)の要素が含まれているが、苗字は近世を背景にしているのでそれがない。江戸時代に名字を用いたとすれば、それは苗字のことを指している。そして、中世の名字は、多くは同名のその土地の支配と結びついているが、近世の苗字は、土地とはほとんど無関係なのである」ということになると思われる。
みょう‐じ【名字】
同一の氏から分れ出て、その住む地名などを取った家の名。平氏から出た千葉・三浦の類。苗字。
(「苗」は「苗裔ビヨウエイ」の意) ( )名字ミヨウジに同じ。
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