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日本人の曖昧さの原因

来源: 2017-10-31 13:32

  なぜ日本人は心にもないことを言うのだろうか

  日本人は言葉(ことば)の意味(いみ)を曖昧(あいまい)にして使うことが多い。また自分自身(じぶんじしん)の感情(かんじょう)を曖昧にすることも多い。ここでは日本人が普段(ふだん)何気(なにげ)なく使っている言葉を例に日本人の曖昧さを捉えていく。そして日本人の曖昧さの原因(げんいん)を考える。

  ◆いつも子どもがお世話になっております。

  親が「いつも子どもがお世話になっております」と言うときは、心から感謝(かんしゃ)している場合もある。しかし礼を言う必要はないと感じながら言うときの方が多い。この言葉のそこには2つの重要な観念(かんねん)が秘められている。

  一つは家族に対する行為(こうい)に対しては、自分自身が好意(こうい)を受けたのと同じように、感謝の意を示すべきだという考えである。

  もう一つは、人とのつながりは自覚(じかく)しなくても恩恵(おんけい)を被っているかもしれないから「お世話になる」という関係(かんけい)で捉えるべきだという考えだ。

  ◆ ―どちらへ?

  ―ええ、ちょっとそこまで。

  この言葉は別に行き先を検索(けんさく)するわけではない。だから聞かれた方としても、具体的(ぐたいてき)には答えず「そこ」と言って曖昧にしてしまう。それは相手(あいて)が元気で外出(がいしゅつ)するのを見て喜ぶ気持ちや、忙しそうに出歩くのは何か異変(いへん)があったのかと心配(しんぱい) する言葉から出ているのである。いずれにせよ、この質問は相手の幸せに対する関心を示すものである。しかし大都市ではこの挨拶(あいさつ)に抵抗(ていこう)を感じる人が多くなっている。それはお前には関係がないと思うからである。

  ◆先日はごちそう様でした。

  このときに言う「先日」とは3ヶ月まであることも多い。日本人は食事(しょくじ)をごちそうになったときは、必ず記憶(きおく)にとどめて礼を述べる。そのときに十分に感謝をしたのだから、もう一度お礼を言う必要(ひつよう)はないと思うが、怠ってはいけないものと考えられている。しかしこの言葉の根底(こんてい) には、どちらがお金を払ったかということが問題なのではない。それよりも、前回会って楽しかったという事実(じじつ)を記憶(きおく)しているのが重要なのだ。つまり、同じ経験(けいけん)を分かち合ったことを忘れていないことを示すことなのだ。同じ経験を持ったことの記憶が両者の良い関係を築くのに役立つのだ。

  ◆うちはもっとひどいんですよ。

  日本人はよく自分の不幸(ふこう)を人に向かってこぼす。自分の幸運(こううん)を簡単(かんたん)に認めようとはしないのだ。一つは相手の感情を思いやってのことであろうし、また冷たくされたり敵意(てきい)を持たれたりするのを極度(きょくど)に恐れるからだ。そして聞き手の方でも相手の不運を認めようとはせず、ほめたりうらやんだりするのをやめない。家族について愚痴(ぐち)を言うのは、日本人、特に女性の間でよく見られる。母親はたいてい、うちの子供は行儀(ぎょうぎ)が悪いとか学校の成績(せいせき)が悪いだとか言う。妻は夫のことを怠け者で気が回らないと言う。聞き手に回った者は自分の子供や亭主(ていしゅ)はもっとひどいと言う。こうしたやりとりで、相手も自分も同じような不運で多くの共通点(きょうつうてん)を持つことを確認(かくにん)する。だがすぐに忘れてしまう。話のネタとして、人間関係を作る道具(どうぐ)になっているに過ぎないのだ。

  ◆たいへん結構だと思います。でも間違いかもしれませんが……。

  日本人は人の言うことを批判(ひはん)するときは必ず、賛成(さんせい)しておいてから批判をする人が多い。感情を傷つけることなく批判をするのは非常(ひじょう)に容易 (ようい)ではない。日本語の丁寧(ていねい)な会話では批判をするときには特に時間をかけ気を配ることが必要である。誰かに批判を求められたときは、まずその案を高く評価(ひょうか)する。その後に批判を示す。日本人は相手との関係を損なうことなく意見の言える適切(てきせつ)な瞬間(しゅんかん)を見出そうと考慮(こうりょ)し続けているのだ。

  ◆おつかれさまでした。

  理髪店(りはつてん)で調髪(ちょうはつ)が済むと理容師(りようし)は「おつかれさまでした」と言う。客にとっては椅子にかけて、ぼんやり考え事をするだけでぜんぜん疲れた覚えはないはずだ。疲れたのは理容師自身ではないだろうか。しかしこれは日本式の感謝の挨拶なのである。非礼(ひれい)を詫びたり、いたわりを示すことによって感謝を表明することはよくあることだ。

  日本人の曖昧さの原因

  一、人の感情を傷つけたくない。(嫌われるのを極度に恐れているので感情をあまり出せない)

  二、良い人間関係を築きたい。(人と同じ感情を共有することで人間関係を形成)

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