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来源: 2017-10-31 14:43

  デジタルカメラ --現在に至る軌跡--

  約20 年前の昭和56(1981)年、ソニー株式会社から磁気記録方式による電子スチルビデオカメラ「マビカ(試作機)」が発表されました。市販されるにはいたらなかったものの、「マビカ」の写真システムは大きな話題となり、各社とも研究開発を本格的にスタートさせました。このシステムは従来の銀塩を使用する写真と異なり、光を電気信号に変換する CCD(電荷結合素子)や磁気ディスクといったアナログビデオ技術を採用した全く新しいシステムでした。

  昭和61(1986)年、キヤノン株式会社から電子スチルビデオカメラ「RC-701」が世界で初めて市販され、その後各社から多くの機種が製造販売されました。そして電子スチルビデオカメラは、画像記録方式をアナログ方式からデジタル方式に、記録媒体を半導体メモリーにするなどして銀塩カメラの画質に近づける改良を続け、現在では「デジタル(スチル)カメラ」として広く知られ、使われるようになりました。

  平成9(1997)年ごろから半導体メモリーの低価格化や、パーソナルコンピュータの普及、そして画像処理ソフトの発展に応じて、画像入力機器としてデジタルカメラは爆発的に普及していきました。近年では、かつての業務用機種の性能を上回る 200~ 300万画素のデジタルカメラがパーソナルユースとして当たり前となり、また現行の業務用機種でも比較的安価なものが数多く発売されています。

  特別展「デジタルカメラ --現在に至る軌跡--」は、「マビカ」から始まった、電子スチルビデオカメラからデジタル(スチル)カメラへの移り変わりとデジタルカメラのめざましい進歩を、周辺機器や記録媒体などの変遷とともにたどっていき、デジタルカメラの発展が今後の写真界全体の発展にどのように関わってゆくのかを考える機会とするものです。

  また、写真家のデジタルカメラで撮影した作品を展示するコーナーや、毎週土曜日曜の午後には実演で画像処理やプリントを楽しめるコーナーを設け、デジタルカメラで広がる新しい映像の世界を体験していただけます。

  展示予定機種より

  「ソニー マビカ(試作機)」(昭和56(1981)年、ソニー)

  ソニーが発表した世界最初の電子スチルビデオカメラ。CCD(電荷結合素子)や磁気ディスクなどアナログビデオ技術を応用。誕生から 3 年後の昭和59(1984)年に開催されたロスアンゼルス五輪の報道用途に改良型がテスト使用され、その後の量産機開発に際して貴重なデータを残した。

  「キヤノン スチルビデオカメラ RC-701」(昭和61(1986)年、キヤノン)

  世界初の市販スチルビデオカメラ。登場当時の価格はボディのみで39万円。システム一式を揃えると約500万円と高価格であり、主として報道、業務用に使用された。

  「カシオ QV-10A」(平成8(1996)年、カシオ計算機)

  平成7(1995)年にカシオ計算機が発売した「QV-10」は、総画素数は38万画素と多くはないが、液晶モニタを内蔵し、6万5千円(消費税別)という当時としては破格の低価格で話題と集め大ヒット作となった。

  「QV-10」は、翌年の平成8(1996)年、機能はそのままで価格を4万9千8百円(消費税別)に下げた「QV-10A」に発展し、デジタルカメラの普及に貢献。

  「オリンパス キャメディア C-1400L」(平成9(1997)年、オリンパス光学工業)

  当初はプロフェッショナル用途とされていた総画素数100万画素超の「メガピクセル機」も、この頃からアマチュア向け機種として続々と誕生、「キャメディア C-1400L」は、画素数以外にも同社のズームレンズ固定の銀塩一眼レフカメラ「L シリーズ」に近いデザインなどの機能を有し、銀塩カメラとデジタルカメラの間の違和感を少なくした、メガピクセル機草創期を代表する機種.

  「ニコン COOLPIX 950」(平成11(1999)年3月、ニコン)

  総画素数200万画素超の「2メガピクセル機」を代表する機種.総画素数211万画素の 1/2(インチ)型 CCD を内蔵し、35mm(135判)換算38~115mm相当の 3 倍ズームレンズを装着。

  10コマ連続撮影をして、その中から一番ブレが少ないと見做せる画面のみを記録する「ベストショットセレクタ」機能を搭載.

  「ニコン D1」(平成11(1999)年9月、ニコン)

  デジタルカメラの発展に伴って、報道、業務用などのプロフェッショナル向けに銀塩一眼レフカメラをベースにしたデジタルカメラも開発されてきた。しかし、そのほとんどは100万円以上もする高価格なものであった。

  「ニコン D1」はプロフェッショナル使用にも十分満足する性能を持つ一方で、65万円(消費税別)という低価格で発売され、ハイアマチュア等に対しても高品質デジタル写真への門扉を開いた。

  「フジフイルム ファインピックス PR21 プリンカム」(平成11(1999)年11月、富士写真フイルム)

  インスタントフィルム(42×62mm)プリンタを内蔵、写したその場で複数のプリント(42×62mm)も作成できるデジタルカメラ。

  同社のインスタント写真システム「フォトラマ」は、偶然にも「マビカ」と同じ昭和56(1981)年に誕生している。デジタル写真とインスタント写真という「写したものをすぐに見ることのできる」システム同士を組み合わせた機種.

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