学術文庫版まえがき
人間が人間らしく生きるというのは、ふつうは力(りき)みかえって生きることである。われわれがいろいろの場合に、「頑張ってね」と口グセのように言うのは、それを示している。しかし、頑張って生きるだけが人生がとは、とても言えないであろう。人間的な努力を積み上げ、人間としての独自の領域を築くというのはとても大切なことだが、人間が自然物でもあって、大きな自然世界と共に生きているという一面も否定することができない。
人間らしいというのはどういうことか。人間の観方(みかた)はこのごろしだいに変わりつつある。ここにとりあげた老人は、まさに人間を大きな自然界の一物として、そこに人間の本質を見ている。無知無欲になってその本質にたちかえることが人間の幸せである。力みかえることをやめて自然態であれという。新しい人間観に展望を開くものがるだろう。
本書は、「古典と語りあう」を旨として。身近な親しみ深いものになっているはずである。新しく学術文庫に入って多くの読者を得ることを期待したい。学術文庫出版部長の池永陽一氏と担当の布宮みつこさんに感謝する。
平成九年一月 伊賀住人
金 谷 治
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