「其(そ)の上」
る。 「其(そ)の上」「其の下」が何をさすのか。「上」を「玄の又玄(げん)」すなわち「道」の世界、「下」を現象世界、とみる説があるが、よくない。「其の上が明るくない」というのは、上は明るいと思うのがふつうであるのに実は明るくないことをいうのであるから、「玄の又玄」をさすとするのは適切ではなかろう。この二つの「其」は、前段で述べたおぼろげな「道」をさす。「混(こん)じて一となった」何かがあって、それがふつうの物体であれば光と影の関係で上下に明暗ができるが、それがそうではないから上下の差もないことをいったものである。 「縄縄(じょうじょう)」は、長く連続するありさまとみるのが通説であるが、それでは前後の関係がよくない。『経典釈文(けいてんしゃくもん)』に引く一説で「涯際(がいさい)なき貌(さま)」とあるのがよい。その文字どおりでは果ての区切りのないことであるが、はっきりしない茫漠(ぼうばく)としたありさまをいうものとしてよい。高亨(こうこう)は「縄」は則の字の誤りで、「冥冥(めいめい)(暗くてはっきりしない)」の意味であろうという。「おぽろげなありさまで名づけようがない」というのは「道」の形容として、第一章で「名無きは、天地の始め」といい、第二十五章で「天下の母」を受けて「吾(わ)れ其(そ)の名を知らず、これを字(あざな)して道と曰(い)う」とあるのと一致する。 「これを迎うるとも…」「これに随(したが)うとも…」は、形がないというだけでなく、時間の推移もまた、「道」にとっては問題にならないことをいう。始め(頭)もなければ終わり(後)もないのである。そこで、古い昔の「道」がそのままに今を支えることになるのであって、そこから万物のぎりぎりの始源としての『天地の始め」がみえてくるのである。それこそが、「道」のまっただなかへの到達であった。
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