模範とするような

 模範とするような「自然」があるということは、理解に苦しむことである。そこで、全体の主語を「人」として、「人は地にのつとりて地となり、天にのつとりて天となり、道にのつとりて道になり、そして自然に法る」と読む説も、唐代からの少数意見としてあるが、その読みかたは古文の句法を無視した不自然な読みかたであって、よくない。ここは修辞的に人から自然まで五段階に分かれているが、意味的には人と天地と道自然との三段階にみるべきもので、「道は自然に法る」とは、「道」のありかたが自然そのものであることをいったものである。「天地の母」としての「道」のありようを説いて、天地も人もそれを模範としてこそ四大となることを述べた。