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識破

来源: 2017-08-12 18:57

 識破りの奥の手ではあるが、見方によっては、あまりに権謀術数(けんぼうじゅつすう)的で老子の無為自然とは合はないようにも思える。『周書(しゅうしょ)』という陰謀(いんぼう)の書にも同じ文がみえているのは、いっそうその疑いを強める。ただ、老子の思想と法家(ほうか)的な政治思想とが結びついた道法思想という一派もあったことからすると、老子の思想の政治的な一面として理解することもできる。老子の哲学では、極点まで達したものは必ず衰滅(すいめつ)するという思想があった。「持()してこれを盈(み)たすは、その已(や)むるに如()かず」(第九章)、いつまでもいっぱいでおろうなどということは考えないほうがよいのであって、だから「仕事をやりとげたら、さっさと身を引くのが、天の道自然の条理」ともいわれる。盛んに生長する万物は、やがて必ずもとの根もとへまた戻っていくという「復帰」の思想もあった(第十六章)。弱くするには反対に強くせよ、奪うには反対に与えよというここの主張は、そうした世界の条理に対する洞察をふまえたものである。その点が明らかになれば、『老子』のなかに権謀的ともみられるこうしたことばが入っていることも、理解できるであろう。

」は収縮、収斂(しゅうれん)の意味。「」は「」と発音が同じで通用。しばらく、とりあえずの意味。「微明(びめい)」の明は、第十六章で「常を知るを明と曰()う」とあったように、一定不変の常道絶対の秩序を洞察する特別な明智(めいち)のことである。それは感覚的な知覚をこえた微妙な深い働きであるから、「微明」と言った。柔弱は剛強に勝つ」の句はこれも一般には分かりにくい条理として、「微明」の対象になる例だとして解釈したが、前後の文章と必ずし

 

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