「仁義」は
「仁義」は、孟子(もうし)がとく強調した儒教の徳目。愛のまごころと、それを実践するための規準。下文の「大偽」(たいぎ)は、荀子(じゅんし)によると「偽」は人為、作為の意味で礼のことであるから、前の「仁義」との関係からすると、儀礼をさしているとみることもできる。ただ、「智慧」(ちえ)との関作で考えると、やはり虚偽の意味が強い。知恵さかしらは欲望と深く結びついている。欲をとげるためのさかしらは、そのまま大きな虚偽の始まりである。底本は「慧智」(えいち)とあるが、諸本に従って改めた。「六親」は、親子・兄弟・夫婦の関係で、近親家族のこと。「貞臣」(ていしん)は、一般に「忠臣」とあり、底本もまた同じ、「国家昏乱して、忠臣あり」といわれて有名である。ただ、范応元(はんおうげん)本では「貞臣」とあり、王弼(おうひつ)本ももとはそうであったといい、傅奕(ふえき)本と帛書甲・乙本もまた同じであるから、原本はこうであったに違いない。「貞臣」は実直な正しい臣下。忠臣と同じ意味とみてよい。
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