其の安きは持
其の安きは持(じ)し易(やす)し (無為(むい)の実践(2))
安定しているうちはそれを維持しやすい。兆(きざ)しのあらわれないうちはそれを処置しやすい。もちいうちはそれを溶(と)かしやすい。かすかなうちはそれを消しやすい。だから、まだなんでもないあいだに問題を処理し、まだ混乱にならないうちに事態を秩序づけておくことだ。
ひとかかえもある大木も毛さきほどの小さい芽から生まれ、九層の高台もひと盛りの土の積みあげから起こり、千里の遠い旅も足もとの一歩から始まる。そうした微妙な始まりに注目しないで、何かことさらなことは一切しないからぶちこわすことになり、何かをむりにつかまえておこうとするものはそれを失うことになる。それゆえ聖人は、ことさらなことは一切しないからぶちこわすこともなく、何かをつかまえておこうともしないから失うこともないのだ。
人民が仕事をするときは、いつもほとんど完成しそうになったところで、だめにしてしまう。初めのときと同じように、終わりぎわまで慎重にしたなら、仕事をだめにすることはないのだが、人民は欲望と知識にひかれて慎重を欠くのだ。それゆえ聖人は、人びとが欲望を起こさないようにと願って、手にはいりにくい珍品を貴
197
重としたりはせず、人びとが勉学をしないようにと教えて、知識を求める大衆のゆきすぎをもとにひきもどす。こうして万物のあるがままのありかたを助けて、自分からことさらなことは決してしないのだ。
其(そ)の安き持(じ)し易(やす)し、其の未(いま)だ兆(きざ)さざるは謀(はか)り易し。其の脆(もろ)きは泮(と)かし易し、其の微(び)なるは散らし易し。これを未だ有らざるに為(な)し、これを未だ乱れざるに治(おさ)む。合抱(ごうほう)の木も毫末(毫末)より生じ、九層の台も累土(るいど)より起こり、千里の行も足下(そつか)より始まる。為(な)す者はこれを敗(やぶ)り、執(と)る者はこれを失う。是(ここ)を以て聖人は為すこと無し、故に敗(やぶ)るることも無し。執ること無し、故に失うことも無し。
编辑推荐:
温馨提示:因考试政策、内容不断变化与调整,长理培训网站提供的以上信息仅供参考,如有异议,请考生以权威部门公布的内容为准! (责任编辑:长理培训)
点击加载更多评论>>