解放军文职招聘考试柏崎刈羽原発「再稼動前提に強い危機感」と専門家
柏崎刈羽原発「再稼動前提に強い危機感」と専門家
左から、山口幸夫、石橋克彦、田中三彦、井野博満の各氏
7月16日の新潟県中越沖地震によって被害を受けた柏崎刈羽原子力発電所(東京電力)について、地震?金属材料?設計?物理のそれぞれの専門家4人が8月21日、学士会館(東京都千代田区)で記者会見を行なった。
主催は、この日4氏によって設立された「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者?技術者の会」。会は「柏崎刈羽原発は再稼動するものという雰囲気が日本社会に植え付けられている。純粋に科学的?技術的見地から、この状況に強い危機感を覚える」などとして、同原発の閉鎖を訴える声明を出した。
石橋克彦?神戸大学教授(地震学)は、「(新潟の地震は)これで終わってしまったという感じ(雰囲気)が強いが、それは地震学的にいうと非常に心配。まだこのあとも、大きな地震が起こる可能性もある」と、さらに規模の大きい地震が数年後に発生する可能性を示唆した。柏崎刈羽原発は、地震が発生しやすい地域のなかでも特に地殻活動度の高い「羽越?信越褶曲帯(しゅうきょくたい)」のなかにあるという。「柏崎刈羽地域を含む広い範囲が現在(地震の)活動期の最中にあるということは、大方の地震研究者が認めることだと思う」と石橋教授は語った。
一方、耐震設計の審査基準を定める指針には昨年改訂された「発電用原子炉施設の耐震設計審査指針」がある。原子力安全?保安院は先月、日本外国特派員協会の会見でこの指針を重要視する姿勢をみせていた(関連記事:疑念晴れぬ原子力安全?保安院の説明)。しかし、この指針に照らすと同原発は「疑いもなく立地は不可能」だと石橋教授は話す。なぜなら、指針のなかで建物や構築物は「十分な支持性能をもつ地盤に設置されなければならない」と定められているからだという。
この指針と原子力安全?保安院の指示に沿って計画された耐震安全性を評価する計画書(耐震安全性評価実施計画書)は、今回の地震を受けて同院と電力会社が見直した。東京電力は今月20日に経済産業省へ見直し後の計画書を提出した、と発表した(東京電力:プレスリリース)。これは、「最新の知見」に向けた柔軟な対応とも思えるが、これまで東京電力が行ってきた耐震安全性の準備計画は十分ではなかったということの証左といえるのではないだろうか。
「中央制御室で運転している方も定期検査をする方も非常に怖かったのではないか」と話すのは、かつて原子炉圧力容器の設計技術者で『原発はなぜ危険か』などの著作もある田中三彦氏。配管などの構造物について語った。「(原発の)運転をしつづけるというなら、クリアしなければならない問題がある。国、あるいは電力会社、原発を作った日立、東芝の設計者が計算に入ったと思うが、公にならない場で計算がされる。その結果がハードルをクリアにしていなかったとき、(計算の結果が)操作されるのではないかと、私の経験上考えられる」。
田中氏は、地震によって生じた機器等のゆがみのうち、目に見えないゆがみが多く残された可能性があるとし、8月7日に行なった新潟県庁記者クラブでの配布資料のなかでも、耐震上重要な機器等は「ゆがんでもやむなし」という設計思想であると述べている。
関連サイト:柏崎刈羽原発反対地元3団体?「地震と原発」研究会 記者会見配布資料
新潟中越沖地震による潜在的な機器の不具合が、石橋教授が述べたような今後の余震で顕在化する可能性は十分に考えられる。東京電力の副社長も先月の会見で「安全上の問題はない」と繰り返し主張していたが(関連記事:「安全上の問題はない」と言い張る東電副社長の過去)、ある有識者が運転再開を「少なくとも1年後」などと発言をしていたことについて、田中氏は「原子炉内の損害状態を見ないうちに、再建の話をするのは、科学技術的に失言に近い」と話した。
東京大学名誉教授で金属材料学を専門にする井野博満氏は、「運転再開だけでなく、閉鎖も視野に含めた客観的な検査をやっていただきたい」「変形を受けたときに材料は硬くなる。その末に割れる。(今回の地震によって)割れるということに近づいたわけだ。局所的なひずみが、どこにどの程度生じたのかといったことを見つけ出すことは実際問題として非常に困難な問題だ」と述べた。
司会を務めた原子力資料情報室の山口幸夫?共同代表は「私たちにとって、今回の地震は想定外でもなんでもない。私たちの恐れていたことが起こった」などと話し、これまでも原発の耐震安全性に疑問を提示してきたことを改めて主張した。
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