解放军文职招聘考试こう熱望するので、
こう熱望するので、
「私はまだ病気に疲れていますが」
といいながらも、源氏が快くすこしひいたのを最後として、みな帰って行った。なごり惜しく思って、山の僧俗はみな涙をこぼした。家の中では、年をとった尼君主従がまだ源氏のような人に出会ったことのない人たちばかりで、その天才的な琴の音(ね)をも現実の世のものでないと評し合った。僧都も、
「なんの約束事で、こんな末世にお生れになって、人としてのうるさい束縛や干渉をお受けにならなければならないかと思ってみると、悲しくてならない」
と源氏の君のことをいって涙をぬぐっていた。兵部卿の宮の姫君は、子ども心に美しい人であると思って、
「宮様よりもごようすがごりっぱね」
などとほめていた。
「ではあの方のお子様におなりなさいまし」
と女房がいうとうなずいて、そうなってもよいと思う顔をしていた。それからは、人形遊びをしても、絵を描いても、源氏の君というのをこしらえて、それにはきれいな着物を着せてだいじがった。
帰京した源氏はすぐに宮中へあがって病中の話をいろいろと申しあげた。ずいぶん痩(や)せてしまったと仰せられて、帝(みかど)はそれをお気におかけあそばされた。聖人の尊敬すべき祈祷力などについてのご下問(かもん)もあったのである。くわしく申しあげると、
「阿闍梨(あじゃり)にもなっていいだけの資格がありそうだね。名誉を求めないで修行一方できた人なんだろう。それで一般人に知られなかったのだ」
と敬意を表しておいでになった。左大臣も御所に来合せていて、
「私もお迎えに参りたく思ったのですが、ご微行(びこう)のときには、かえってご迷惑かとも思いまして遠慮をしました。しかし、まだ一日二日は静かにお休みになる方がよろしいでしょう」
といって、また、
「ここからのお送りは私がいたしましょう」
ともいったので、その家へ行きたい気もなかったが、やむをえず源氏は同道して行くことにした。自分の車へ乗せて大臣自身はからだを小さくして乗って行ったのである。娘のかわいさから、これほどまでに誠意を見せた待遇を自分にしてくれるのだと思うと、大臣の親心なるものに源氏は感動せずにはいられなかった。
こちらへ退出してくることを予期した用意が左大臣家にできていた。しばらく行ってみなかった源氏の目に、美しいこの家がさらにみがきあげられた気もした。源氏の夫人は、例のとおりにほかの座敷へはいってしまって出て来ようとしない。大臣がいろいろとなだめてやっと源氏と同席させた。絵に描いた何かの姫君というようにきれいに飾り立てられていて、身動きすることも自由でないようにきちんとした妻であったから、源氏は、山の二日の話をするとすれば、すぐに同感をあらわしてくれるような人であれば、情味が覚えられるであろう、いつまでも他人に対する羞恥(しゅうち)と同じものを見せて、同棲の歳月は重なってもこの傾向がますます目立ってくるばかりであると思うと苦しくて、
「時々は普通の夫婦らしくしてください。ずいぶん病気で苦しんだのですから、どうだったかというぐらいは問うてくだすっていいのに、あなたは問わない。今はじめてのことではないが、私としては恨めしいことですよ」
といった。
「問われないのは恨めしいものでしょうか」
こういって横に源氏の方を見た目つきははずかしそうで、そして気高い美が顔にそなわっていた。
「たまにいってくださることがそれだ。情けないじゃありませんか。訪(と)うて行かぬなどという間柄は、私たちのような神聖な夫婦の間柄とは違うのですよ。そんなことといっしょにしていうものじゃありません。時がたてばたつほどあなたは私を露骨に軽蔑(けいべつ)するようになるから、こうすればあなたの心もちがなおるか、そうしたらききめがあるだろうか、と私はいろんな試みをしているのですよ。そうすればするほどあなたはよそよそしくなる。まあいい。長い命さえあればよくわかってもらえるでしょう」
といって源氏は寝室の方へはいったが、夫人はそのままもとの座にいた。就寝をうながしてみても聞かぬ人をおいて、嘆息をしながら源氏は枕についていたというのも、夫人を動かすことに、そう骨を折る気にはなれなかったのかもしれない。ただ、くたびれていて眠いというふうを見せながらも、いろいろなもの思いをしていた。若草と祖母に歌われていた兵部卿の宮の小王女の登場する未来の舞台がしきりに思われる。年の不釣合いから、先方の人たちが自分の提議を問題にしようとしなかったのも道理である。先方がそうでは積極的には出られない。しかしなんらかの手段で自邸へ入れて、あの愛らしい人をもの思いの慰めにながめていたい。兵部卿の宮は、上品な艶(えん)なお顔ではあるが、はなやかな美しさなどはおありにならないのに、どうして叔母君にそっくりなように見えたのだろう、宮と藤壺の宮とは同じお后からお生れになったからであろうか、などと考えるだけでもその子と恋人との縁故の深さがうれしくて、ぜひとも自分の希望は実現させないではならないものである、と源氏は思った。
源氏は翌日北山へ手紙を送った。僧都へ書いたものにも女王の問題をほのめかしておかれたに違いない。尼君のには、
問題にしてくださいませんでしたあなた様に気おくれがいたしまして、思っておりますこともことごとくは言葉に表わせませんでした。こう申しますだけでも、なみなみでない執心のほどをおくみとりくださいましたらうれしいでしょう。
などと書いてあった。別に小さく結んだ手紙が入れてあって、
面かげは身をも離れず山ざくら
心の限りとめてこしかど
どんな風が、私の忘れることのできない花を吹くかもしれないと思うと気がかりです。
内容はこうだった。源氏の字を美しく思ったことは別として、老人(としより)たちは手紙の包み方などにさえ感心していた。困ってしまう。こんな問題はどうお返事すればいいことかと尼君は当惑していた。
あのときのお話は、遠い未来のことでございましたから、ただいまなんとも申しあげませんでもとぞんじておりましたのに、またお手紙で仰せになりましたので恐縮いたしております。まだ手習(てなら)いの難波津(なにわづ)の歌さえもつづけて書けない子どもでございますから、失礼をおゆるしくださいませ、それにいたしましても、
嵐(あらし)吹く尾上(おのえ)のさくら散らぬ間(ま)を
心とめける程のはかなさ
こちらこそたよりない気がいたします。
というのが尼君からの返事である。僧都の手紙に記されたことも同じようであったから、源氏は残念に思って二三日たってから惟光を北山へやろうとした。
「少納言の乳母(めのと)という人がいるはずだから、その人に会ってくわしく私の方の心もちを伝えてきてくれ」
などと源氏は命じた。どんな女性にも関心をもつ方だ。姫君はまだきわめて幼稚であったようだのにと惟光は思って、真正面から見たのではないが、自身がいっしょにすき見をしたときのことを思ってみたりもしていた。
今度は五位の男を使いにして手紙をもらったことに僧都は恐縮していた。惟光は少納言に面会を申し込んで会った。源氏の望んでいることをくわしく伝えて、そのあとで源氏の日常の生活ぶりなどを語った。多弁な惟光は相手を説得する心でじょうずにいろいろ話したが、僧都も尼君も少納言も、稚(おさな)い女王への結婚の申し込みはどう解釈すべきであろうとあきれているばかりだった。手紙の方にもねんごろに申し入れが書かれてあって、
一つずつ離してお書きになる姫君のお字を、ぜひ私に見せていただきたい。
ともあった。例の中に封じた方の手紙には、
浅香山浅くも人を思はぬに
など山の井のかけ離るらん
この歌が書いてある。返事、
汲(く)み初(そ)めてくやしと聞きし山の井の
浅きながらや影を見すべき
尼君が書いたのである。惟光が聞いて来たのもその程度の返辞であった。
「尼様のご容体(ようだい)がすこしおよろしくなりましたら京のお邸(やしき)へ帰りますから、そちらから改めてお返事を申しあげることにいたします」
といっていたというのである。源氏はたよりない気がしたのであった。
藤壺の宮がすこしご病気におなりになって、宮中から自邸へ退出して来ておいでになった。帝が日々恋しく思召すごようすに源氏は同情しながらも、まれにしかないお実家(さと)住いの機会をとらえないでは、またいつ恋しいお顔が見られるかと夢中になって、それ以来、どの恋人のところへも行かず、宮中の宿直所(とのいどころ)ででも、二条の院ででも、昼間は終日もの思いに暮して、王命婦(おうみょうぶ)に手引きを迫ることのほかは何もしなかった。王命婦がどんな方法をとったのか、与えられた無理なわずかな逢瀬(おうせ)の中にいるときも、幸福が現実の幸福とは思えないで夢としか思われないのが、源氏はみずから残念であった。宮も、過去のある夜の思いがけぬ過失の罪悪感が一生忘れられないもののように思っておいでになって、せめてこの上の罪は重ねまいと深く思召したのであるのに、またも、こうしたことを他動的にくりかえすことになったのを悲しくお思いになって、恨めしいふうでおありになりながら、柔らかな魅力があって、しかも、うちとけておいでにならない最高の貴女の態度が美しく思われる源氏は、やはり、だれよりもすぐれた女性である、なぜひとところでも欠点をもっておいでにならないのであろう、それであれば、自分の心はこうして死ぬほどにまでひかれないで楽であろうと思うと、源氏はこの人の存在を自分に知らせた運命さえも恨めしく思われるのである。源氏の恋の万分の一も告げる時間のあるわけはない。永久の夜がほしいほどであるのに、会わないときよりも恨めしい別れのときがいたった。
見てもまた逢ふ夜稀(まれ)なる夢の中に
やがてまぎるるわが身ともがな
涙にむせかえっていう源氏のようすを見ると、さすがに宮も悲しくて、
世語りに人やつたへん類(たぐ)ひなく
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